独立前に知っておきたい「社会保険」と「体の資産価値」

長年、組織の第一線でキャリアを積み上げてきた皆様が、その経験を糧に「独立」という新たな冒険に漕ぎ出す。それは非常に勇気ある決断であり、これまでの貢献に深い敬意を表します。

しかし、自由を手にする一方で、これまで意識せずに享受してきた「守り」の仕組みが大きく変化することに、どれほどの方が備えられているでしょうか。今回は、独立後の生活基盤を支える「社会保険」の変化と、起業家が向き合うべき最大のリスクについてお伝えします。

目次

「折半」という守りから「自律」の負担へ

会社員時代、私たちの社会保険料(健康保険・厚生年金)は、勤務先が半分を負担してくれていました。給与明細に記載されている金額の倍の額が、実は皆様の保障のために納められていたのです。

独立してこの「2号被保険者」という枠組みを外れると、仕組みは大きく変わります。

  • 個人事業主として歩む場合
    国民健康保険と国民年金への加入が一般的です。会社員時代に比べ、月々の納付額そのものは抑えられるケースも少なくありません。しかし、これは「負担が減った」というよりも、「受けられる保障の種類が絞られた」と捉えるのが正確です。
  • 法人を設立する場合
    自ら代表となり、社会保険(協会けんぽ等)に加入します。会社員時代と同様の保障を維持できますが、法人の立場として「会社負担分」も自分で工面しなければなりません。つまり、実質的には全額を自らの事業収入から賄うことになります。

見落としがちな「保障の空白」というリスク

多くの方が意識されるのは「いくら払うか」というキャッシュアウトの面ですが、専門家の視点からお伝えしたいのは「何がなくなるか」というリスクの面です。

特に個人事業主を選択した場合、以下の二つの大きな支えが失われることになります。

  1. 傷病手当金の消失
    会社員の健康保険には、病気や怪我で働けなくなった際に給与の約3分の2が支給される「傷病手当金」がありますが、国民健康保険には原則としてこの制度がありません。
  2. 将来の年金構成の変化
    厚生年金から国民年金のみになることで、将来受け取る老齢年金の額は大幅に減少します。これは、現役時代だけでなく、引退後のライフプランにも直結する課題です。

「体」こそが、事業の最大資産である

起業して間もない時期、あるいは事業が軌道に乗るまでは、皆様自身が「事業そのもの」です。有給休暇もなく、代わりの利かない存在として現場に立つ中で、最大の不測の事態は「自分が動けなくなること」に他なりません。

「体が今まで以上に重要な資産である」

これは、独立を検討されるすべての方に、起業前に深く噛み締めていただきたい事実です。どれほど素晴らしいビジネスモデルがあっても、それを回す「エンジン」である皆様の健康が損なわれては、すべてが停滞してしまいます。

納得感のある一歩を踏み出すために

リスクがあるからといって、起業を思いとどまる必要はありません。湧き上がる挑戦への情熱は、何物にも代えがたいエネルギーです。大切なのは、その情熱を支える「土台」をあらかじめ固めておくことです。

  • 「お金」の準備:万が一、数ヶ月収入が途絶えても生活と事業を維持できる予備費を、会社員時代から意識的に積み立てておく。
  • 「体」の準備:定期的な人間ドックや日々の体調管理を、趣味ではなく「経営業務」の一環として位置づける。
  • 「仕組み」の検討:不足する保障を補うための就業不能保険への加入や、小規模企業共済などの活用を検討する。

起業前にこれらを真剣に考えることは、決して後ろ向きなことではありません。むしろ、長く健やかに事業を続けていくための「攻めの守り」です。

自らの人生の手綱を自分で握る。その素晴らしい旅路を、万全の準備とともにスタートさせてください。

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