「これまでの経験を活かして、独立や起業に挑戦したい」
そう考えたとき、多くの方が直面するのは「今の自分のスキルのままで、本当に通用するだろうか?」という問いではないでしょうか。
私自身、中小企業向けのコンサルティング事業を立ち上げる際、同じ壁に直面しました。前職までの経験でも一定の支援は可能ですが、より踏み込んだ、顧客の課題解決に直結する価値を提供するには何かが足りない。そう感じて選んだのが、「リスキリング(学び直し)」という戦略的な時間の使い方でした。
今回は、私の実体験を交えながら、ライフプラン(資金計画)とビジネスプラン(事業価値)を統合した、大人のためのリスキリング戦略についてお話しします。
1. 「キャリアの掛け算」で市場価値を再定義する
リスキリングと聞くと、「全く新しい分野への転身」をイメージされるかもしれません。しかし、キャリアを重ねてきた私たちにとって重要なのは、「これまでの経験 × 新しいスキル」という掛け算の視点です。
私が独立前に着目したのは、多くの中小企業が抱える「IT化・データ化」の課題でした。
これまでの経営や財務の知見に、プログラミングやデータ活用のスキルを掛け合わせれば、単なる助言にとどまらない、実装まで含めた「踏み込んだ支援」が可能になります。
- 既存の強み(A): 業界知識、マネジメント経験、営業力など
- 新たな武器(B): ITスキル、Webマーケティング、AI活用など
- 独自の価値(A × B): 競合他社にはない、あなただけのサービス
「何となく流行っているから学ぶ」のではなく、「誰の、どんな課題を解決するために、今の自分に何を足すべきか」というビジネスプランの視点を持つことが、学びの成果を最大化します。
2. 学びの時間を支える「資金計画(ライフプラン)」
いざ学び直しを決意しても、最大のハードルとなるのが「収入の空白期間」です。
私も1年程度の無収入期間が発生することになりましたが、焦りを感じずに学びへ没頭できたのには、2つの明確な裏付けがありました。
長期視点での資産形成
一つは、20代後半から独立を見据えて立てていたライフプランです。
計画的な積み立てに加え、近年の運用環境の好調さもあり、資金目標が上振れしていました。「1年程度なら無収入でも生活防衛資金は確保できる」という財務的な判断が、挑戦への心理的なハードルを大きく下げてくれました。
雇用保険制度のフル活用
もう一つは、会社員時代に加入していた「雇用保険」の恩恵です。
雇用保険は、単に失業時の生活を支えるだけでなく、未来への投資を支援する強力な機能を持っています。
特に活用したいのが、以下の2つの制度です。
- 専門実践教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する講座を受講する場合、受講費用の50%~70%(条件により最大80%)が支給される制度です。高額になりがちな専門スキルの習得費用を大幅に圧縮できます。
※2025年4月の改正により、受講後の賃金上昇など一定の要件を満たすと給付率がさらに上乗せされるケースも出てきています。 - 教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練を日中に受講し、失業状態にあるなど一定の要件を満たす場合、基本手当(失業手当)の支給終了後も、生活を支える給付金を受け取れる制度です。
※本制度は2027年(令和9年)3月31日までの時限措置として延長されています。給付率は基本手当の日額の60%(2025年4月以降)となりましたが、学びの期間中の生活不安を和らげる非常に心強い存在です。
これらを組み合わせることで、「学び直し」は浪費ではなく、計算可能な「投資」になります。
3. 大人の学び直しは「異文化交流」
実際に学生に戻り、技術習得に時間を費やす日々は、予想以上に刺激的で楽しいものでした。
社会人になると、どうしてもアウトプット(成果)を求められがちですが、インプット(習得)だけに集中できる時間は何物にも代えがたい贅沢です。
また、教室には20代の若い受講生も多くいました。彼らの知識の吸収スピードや、デジタルネイティブならではの感性に触れることは、私にとって強烈な刺激となりました。
年齢やキャリアの鎧を脱ぎ、「素人」として若い世代と机を並べる。この「異文化交流」のような体験こそが、凝り固まった思考を柔軟にし、コンサルタントとしての幅を広げてくれたと感じています。
4. 制度活用の注意点
最後に、これから給付金を活用しようと考えている方へ、実務的な注意点をお伝えします。
- 手続きは「受講開始の1ヶ月前」が原則
ハローワークでのキャリアコンサルティング(訓練前キャリアコンサルティング)を受ける必要があるため、直前の申し込みでは間に合いません。早めの行動が不可欠です。 - 最新情報の確認を
教育訓練給付制度は、法改正により給付率や要件が頻繁に変更されます。Web上の古い情報だけでなく、必ず厚生労働省の公式サイトや管轄のハローワークで最新情報を確認してください。
まとめ:リスクをコントロールして、大胆に攻める
リスキリングは、不確実な未来への最強の投資です。
ファイナンシャルプランナーとしての「資金計画」と、事業主としての「ビジネスプラン」。この両輪を回すことで、リスクを最小限に抑えながら、人生の後半戦に向けた大胆な自己変革が可能になります。
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それはきっと、あなたを待っている顧客にとって、唯一無二の価値になるはずです。
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